02 | 2018/03 | 04
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
MENU

NEW ARRIVAL

PROFILE

船越幹央

Author:船越幹央
博物館で学芸員をしています。また、京都市内の大学で非常勤講師を務めています。
生れ育った京都の魅力を歴史・文化財・史跡を中心にお伝えします!
やっぱり、京都は奥深い。知れば知るほど、味わい深い。このブログを読んで、京都を歩いてみてください!

[主な取材等]
テレビ:NHK「ブラタモリ~京都~」、BS朝日「京都ぶらり歴史探訪」、BS-TBS「高島礼子・日本の古都」、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」ほか
新聞・雑誌:小学館「サライ」、朝日新聞、日本経済新聞ほか
見学会:「まいまい京都」ほか

ARCHIVE

お寺の墓地にひそむ御土居の跡とは……





御土居


 寺町通にある廬山寺 

 寺町通は、その名の通り、寺院がたくさんある街路です。 
 豊臣秀吉の時代に、市中にあった寺院を集中させて形成されました。
 寺町通は、平安京でいえば東京極大路の位置に当たるので、京都の東の端になります。この東は、もう鴨川ですね。

 いま寺町通にある有名寺院といえば、第一が本能寺でしょうが、その次くらいに著名なのは、ここではないでしょうか?

 廬山寺

 廬山寺。
 むずかしい字ですけれど「ろざんじ」と読みます。
 京都では、節分のときに鬼が出て来る追儺会(鬼法楽)が行われるお寺として、夙に知られています。
 私としては、平安時代の比叡山の高僧・元三大師(良源)を祀る寺としてもインプットされていますね(廬山寺の開基です)。このブログでも、何度も紹介してきた人ですから。

 廬山寺元三大師堂
  廬山寺 元三大師堂


 墓地に参れば 

 廬山寺の裏手、つまり東側には墓地が広がっています。
 寺町にある寺院は、だいたい寺域の東に墓地を持っています。ここが寺の裏側に当たるからですね。
 もともとは、裏側なので見えないのですが、現在では、そのさらに東に河原町通が通っているので、そこから墓地がうかがえるところもあります。廬山寺のお隣の清浄華院はそのケースです。

 廬山寺墓地
  廬山寺の墓地

 墓地に参ることを「掃苔(そうたい)」という漢語で言うことがありますが、世の中には、この掃苔が好きな方がいて、著名人の墓地をお参りすることを趣味にするのです。大きな墓地、例えば東京などでは谷中墓地みたいなところ、そこに眠る有名人の墓を訪ね歩くわけです。

 私は、この趣味はないのですけれど、でもお隣の清浄華院には、山科言継(やましなときつぐ)卿のお墓があって、ここにはお参りしましたね。日本史を学ぶ者にとっては、戦国時代の京都を知る重要な日記を残した人として知られています。
 ほかにも、天寧寺(てんねいじ)、ここは寺町通の北端にありますが、そこでは茶人・金森宗和の墓参をしたこともあります。
 寺町だけに墓が多く、掃苔の趣味のない私ですら、引き付けられるのでした。

 廬山寺の墓地も、以前お参りして、慶光天皇と中山愛親について書いていますので、そちらもご覧ください。

 記事は、こちら! ⇒ <廬山寺には、「慶光天皇」と中山愛親が共に眠っている>


 意外な史跡も!

 その墓地の東端には、こんもりと樹木が繁っているところがあります。

 御土居

 画面奥ですね。
 白いビルは、河原町通に沿って建っている建物です(裏が見えています)。

 この部分が、実は御土居なのでした。

 御土居(おどい)は、豊臣秀吉が造った京都を囲む土塁と堀です。
 広い京都を縦長に囲み、全長は約22.5kmあります。
 
 現在、残されている場所は少なく、国史跡に指定されている地点が9か所あります。

 御土居の北辺についての記事は、こちら! ⇒ <懐かしい母校の裏に、京都を囲む御土居がある>

 西の辺は、全長は8.5kmほどもあると思いますが、史跡として残されている部分は、この廬山寺の墓地内だけです。
 多くの部分が河原町通と合致しているので、まったく取り毀たれているわけです。およそ、河原町通の西沿いが御土居の位置に当たります。

 墓地の東端に、南北に伸びる御土居があります。
 延長は、およそ100mくらいです。

 御土居

 画面右隅に「史跡 御土居」と書いた標柱が見えると思います。
 
 下のように正面から見ると、分かりやすいですね。
 
 御土居

 盛り上がりは2mくらいでしょうか。樹木が生い茂っています。江戸時代などは、御土居の上に竹などを植えたようですが、これは雑木ですね。

 鷹峯や大宮あたりに残るものに比べると、ややこぢんまりした印象です。
 でも、河原町通に沿って残っているのは貴重。さすがに、墓地のなかだったので、壊されなかったのでしょう。

 北の端には石段があって、御土居上に上れます。

  御土居

 なかなか御土居には上がれないので、この体験は貴重かも?

 廬山寺の裏の墓地という、少し分かりづらい位置にある御土居ですが、一見の価値ありです。




 御土居(国史跡)

 所在  京都市上京区寺町通広小路上ル北之辺町(廬山寺内)
 見学  自由 
 交通  市バス「府立医大病院前」下車、徒歩約3分



 【参考文献】
 中村武生『御土居堀ものがたり』京都新聞出版センター、2005年


スポンサーサイト

奥が深そう、業界紙の世界

その他




中之島図書館新聞目録


 図書館の奥にある新聞閲覧室 

 先週、調べものがあって、大阪府立中之島図書館を訪ねました。

 この図書館は昔からよく利用させてもらっていて、当時は1階の脇にある入口から入り、係の女性からロッカーのカギをもらって、古びたロッカーに荷物を入れて、閲覧室に行っていました。この1階入口の古びた設備、庶民的な応対は、中之島図書館の名物でもあり、クラシックな外観に似ても似つかぬ、大阪らしい親しみのある部分でした。

 大阪府立中之島図書館
  明治建築の大阪府立中之島図書館

 目的は、1時間ほどで終わり、少し時間があったので閲覧室を覗いたりしていました。
 これまでなぜか、建物北側にある階段を使ったことがありませんでした。もしかすると以前は閉鎖されていたのかも知れませんが、その階段を初めて下りて行くと、明かりの点いた小部屋がありました。

 新聞室。

 この部屋には、今まで入ったことがありませんでした。
 私のぼんやりした記憶では、以前新聞室は2階にあったような気がします。でも、なかに入ったことはなかったのです。

 入室してみると、狭い部屋内に新聞を読む斜面になった閲覧台や、縮刷版などを架蔵する棚が並んでおり、7、8人の男性が新聞を読んでいました。
 
 棚を見て回って、私を驚かせたのは、業界紙の所蔵でした。

 業界紙。

 それだけで魅力的な響きだけれど、ほとんど読むことのない世界。
 でも、ヒミツの情報が満載されているようなイメージがある……

 私は時折、NHKラジオで「すっぴん!」という番組を聴くのですが、週に1回、ひとつの業界紙を取り上げて、その編集長らを招いて話を聞くコーナーがあるのです(「ギョーカイ大図鑑」)。
 これがおもしろくて聴き入ってしまうのですが、実際の新聞を目にする機会はほとんどないわけです。

 ところが、この新聞室には、それがある。それも、結構たくさん!


 圧巻の業界紙目録 

 室内を見ていると、パンフレット立てにピンク色の冊子が置いてあるのが目に付きました。

  中之島図書館新聞目録

 タイトルは、ひらがなで「おおさかふりつ なかのしまとしょかん しんぶんしつ」となっています。
 目次には「所蔵新聞目録」と書いてありました。

 係員の男性に、小声で「これ、いただいていいですか」と聞くと、不思議そうな顔ながらも「どうぞ」と言ってくれました。

 そして、1ページ目からめくっていくと、ここに所蔵されている新聞が記載されているのですが、当然というべきか、ほとんどが業界紙なのです。
 その数、なんと 563!

 最初は「a」で、「antenna」という新聞。
 アンテナかぁ、どんなのか全く想像が付かない……

 次は「Architecture Roofing Sealing」。
 はぁ、これは建築関係、それも屋根関係ですかね。
 
 こんな調子で、延々と続きます。

 J のところには「JFAニュース」というのがあります。
 一見、JFAなので、ジャパン・フットボール・アソシエーション、つまり日本サッカー協会の新聞か? と思いますが、ここは大阪の図書館。そんなものが、あるはずもありません。
 これは、たまたま棚にあるのを見たのですが、なんと鍛造(たんぞう)関係の業界紙でした!

 ほかにも、「MK新聞」っていうのがあって、これってタクシーだろ !? て感じですよね(笑)

 とにかく、アルファベットのタイトルは、中身が想像できません。

 中之島図書館新聞目録
  ちょっと電話帳のような雰囲気

 アルファベットのあとは、アイウエオ。
 まず最初に「赤旗」があって、これはメジャーなので、なにかホッとします。そのすぐ下には、各種の「朝日新聞」がありますね。
 でも、「アルミ缶リサイクルニュース」!とか、「アンブレラ・シーズン」!とか、内容は分かるけど、こんなのあるの!という驚きの新聞がオンパレード。

 こういった業界色満載の新聞には、

 「金型しんぶん」
 「危険物新聞」
 「金属時評」
 「空調タイムス」
 「軽金属ダイジェスト」
 「建設速報」
 「研磨剤新報」
 「ゴム産業ニュース」
 「ジャパン味噌プレス」
 「シューズポスト」
 「酒販飲料日報」
 「醸界通信」
 「段ボール事報」
 「テレコム・レビュー」
 「塗料報知」
 「農場だより」
 「フードウイークリー」
 「ポリオレフィン時報」
 「ミュージック・リポート」
 「労基旬報」

 などなど、枚挙にいとまなし。

 特に、下の部分、新聞、しんぶん、ニュース、タイムス、プレス、ポスト、日報、時報、旬報、新報、速報、レビュー、リポート、ダイジェスト …… という、バリエーションの多彩さは、他紙の付けていない題号を付けてやろう!という気合い満載です。

 このリストが延々15ページまであります。


 注目! 内容の3行解説も 

 そして、22ページまで来ると、実は、各紙の内容が1~3行で解説されているのでした。

 これはスゴイ! 便利 ‼

 業界ごとに分類したうえで、説明されています。

 例えば、「ナイスビジネスレポート」。発行者は、ナイス経済センター。

 木材や建材、住宅設備機器等を取り扱う販売店、工務店向けの広報紙。住宅に関する法律や行政動向、各社の取り組み事例などを紹介している。 

 タイトルは「?」ですが、説明を読んでいると、住宅・建材関係の業界紙のようでした。

 「コンビニエンスストア速報」。発行は流通産業新聞社。
 
 毎週月・木に流通産業新聞社から発行されているコンビニ業界の専門紙。様々なコンビニ向けの新商品やコラボ・タイアップ商品の最新情報等を掲載している。新商品情報以外にも定期的に売り上げの推移や店舗の分布地図を掲載している。 

 これ、おもしろそうだなぁ。読んでみたい。

 ナゾのタイトルも多いです。

 「学生ハロ大阪新聞」

 なんでしょう?

 就職活動情報紙。面接会等のイベント案内、セミナー情報、内定者の声、業界情報、企業情報、就活豆知識、時事ネタなど、就職活動に役立つ情報を掲載している。

 発行者が、大阪新卒応援ハローワーク。 「ハロ」は、その略だったのですね。
 いまのシーズン、タイムリーです。

 「全ドラ」

 ドラって、なんだ?

 クリーニング店を対象とした専門紙。経営のポイントや新しいサービスを紹介。またクリーニング機器や洗剤等の新製品の情報も掲載。

 そうかぁ、ドライクリーニングなどの「ドライ」の略なんでしょうかね。

 でも、一番びっくりした&わからない…タイトルは、

 「お母さん業界新聞 全国版」
 
 なんだろう?

 お母さんのための子育て月刊紙。子どもの年齢を問わず、子育てに役立つ情報が掲載されており、国内外で子育て中のお母さんたちからの投稿欄が充実。お母さんが共感できるつぶやきも掲載。

 発行は、トランタンネットワーク新聞社。
 そうか、業界っていうのは比喩なんですね。なかなかおもしろそうです。

 今回は、時間がなくて各紙そのものを読むことは出来ませんでした。
 でも、業界紙は奥が深そうですね。

 今度はぜひ、中身も読んでみたいと思います。