【新聞から】新京極シネラリーベ閉館
|洛中(中京区)|
「ファンら別れ惜しむ 『新京極シネラリーベ』
閉館」 京都 2013年2月16日付
新京極最後の単館の映画館「新京極シネラリーベ」が、2月15日(金)夜、閉館しました。
地元紙・京都新聞は次のように報じています。
「映画のまちとして親しまれてきた新京極で、最後の単館系映画館「新京極シネラリーベ」(京都市中京区新京極通六角下ル)が15日夜の上映をもって閉館し、訪れたファンが別れを惜しんだ」
ラストの上映は、40名ほどがご覧になったそうです。
お客さんの声を紹介したあと、当川賢治支配人の「長らくのご支援に感謝申し上げたい」とのコメントを掲載しています。
特段、閉館のセレモニーなどはなく、通常通りの閉館だったそうです。それでいいのだと私も思います。
私が最後に訪れたのは、2月13日(水)の午後でした。ふだんより少し多い30名ほどの観客と一緒に「のぼうの城」を見ました。いつものように、館内の自販機でコカコーラを買って、それを飲みながら映画を見ました。水攻めにあった忍(おし)城が、武士も農民も力を合わせて、窮地をどう乗り越えていくかという物語でした。
シネラリーベは、ビルの地下1階と3階にスクリーンがあったのですが、昨年、地下の劇場を閉められたので、心配していたのでした。
赤いビロード張りのあの椅子にもう座れないのかと思うと、やはり残念です。
記事などによると、シネラリーベは、明治末期創業の映画館「パテー館」がルーツ。昭和29年(1954)以降は「京極弥生座」となり、2006年に現在の名称に改称しました。現在のビルは、昭和47年(1972)にオープン。かつては2階に蝋人形館(!)もあったそうです。
新京極の弥生座というと、僕らの思い出では成人映画の上映館というイメージで、その頃は行ったことがなかったのですが、シネラリーベとして一般作品を上映し始めた頃から、ちょくちょくお邪魔していました。
ちなみに、開館時の「パテー」という名は、フランスの映画会社の名前です。戦前は、家庭用映画フィルムなども販売していて、それが9.5mmという特殊なフィルム(フィルムの中央にパーフォレーション=送り穴が開いている)だったのが珍しかったのです。ニワトリのトレードマークが印象的な会社。時代を感じさせます。
13日に「のぼうの城」を見た帰り、六角の広場で、ふとこんなものを見たのでした。
いまはダイエー・グルメシティになったビルの壁面。
昔、ここには映画館「ピカデリー劇場」が入っていたのでした。
未だに、壁面に松竹のマークと“Piccadilly”の文字が……。 今日まで全く気付きませんでした。
ピカデリーが閉館してから随分経ちます。でも、壁に文字だけが残っていたとは! さすがに、切ない気持ちでした。
新京極の映画館は、これでMOVIX京都1館だけになりました。
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